RCF対策
アスベスト除去同様の作業員の汚染防止保護具と環境対策が必要な理由
断熱材セラミックファイバーの一種でアルミナ、シリカをほぼ等量に配合、混合したものです。材料繊維が細かく、その繊維による健康障害の可能性があるため2015年11月より特化則の対応が必要になりました。過去より建築の梁、柱などの耐火被覆、煙導などのパッキン、各種炉の断熱など各業界で広く使用されていました。色が白いのが特長です。
過去空調衛生工事における主なRCF施工箇所
- 駐車場、廊下、居室等の避難経路に掛る場所の排煙ダクト
- ホール、劇場等脇の設備スペースの排煙ダクト
- 商業施設の改修に伴い耐火仕様になった排煙ダクト
- 煙導、ボイラー、各種の炉の断熱など
- 工場の危険物倉庫や防爆、防火エリアの耐火工事
- 厨房排気ダクト耐火被覆
- グリーストラップ耐火被覆
- 衛生便器下耐火被覆
- 消火栓ボックス裏面耐火被覆
- セルラーダクト(電気)耐火被覆
- その他、2時間耐火措置などが必要な箇所
過去空調衛生工事におけるRCF施工年代
空調衛生工事においは1990年代より耐火被覆材として拡大していったと考えられます。ちなみにニチアス製フレックスガードの製造年は1987~2009です。1.6mm厚み耐火ダクトの代わりに、通常ダクト+フレックスガードなどRCF2時間耐火材が普及していきました。
過去RCFの主な材料商品名・メーカー
空調衛生工事においは、
- フレックスガード・ファインフレックスなど:ニチアス㈱
- カオウール・イソウール・ファイアーガードなど:イソライト工業㈱
- 蒸気配管などパッキン類:日本バルカー㈱
- アクアカバー(耐火被覆材)など:㈱A&Aマテリアル
その他の中小メーカーは多数有ります。
RCFを解体・除去する場合の特化則規定
RCF自体は禁止物質では無いので除去しなければいけない法律はありません。ただ改修工事などでこの「白い断熱材」RCFを解体、除去しなくていけない作業の場合には下記の特化則への対応が必要になります。
- RCFの危険有害性の掲示
- 作業主任者の選任
- RCFの飛散抑制措置
- 呼吸用保護具、保護衣の着用
- 清掃の実施
- 飛散しないように廃材処理(ガラスくず)
RCFの危険有害性の掲示
取り替え、除去時に作業者が見やすい場所に図の掲示を行う。(下記掲示例)
人体に及ぼす影響
- 発癌の恐れの疑い
- 目、皮膚などに触れた時、一過性の機械的刺激を生じることがある。
- 粉塵を長期に渡、多量に吸入した時、呼吸器への影響が生じる恐れがある
取り扱い状の注意事項
- 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
- 特定化学物質作業主任者の指揮に従い取り扱うこと。
- 取り扱いの際には適切な呼吸用保護具を着用すること。
- 長袖の作業衣および保護手袋を着用すること。また、必要に応じて保護眼鏡を使用すること。作業衣などに付着した場合は、超高性能エアフィルタ(HEPA)付き掃除機または粘着テープ等で飛散に留意にながら取り除くこと。
- 作業場は禁煙・飲食を禁止すること。
- 端材、付着物は蓋のゴミ箱に捨てること。
- 取り扱いごはうがい及び手洗いを励行すること。
- リフラクトリーセラミックファイバーは飛散しないように保管すること。
保護具
- 作業内容、作業環境の濃度レベルにあった適切な呼吸用保護具を着用すること。
- ゴーグル、サイドシール付き保護眼鏡など作業に適した保護具を使用すること。
- ゴム手袋、長袖の作業衣・保護衣など作業に適したものを使用し、皮膚が露出しないようにすること。
応急処置
- 異物感がなくなるまで、流水で洗浄する。目を擦ってはならない。
- 水または微温湯で流し落としたのち、石鹸でよく洗う。痛みが残ったり、何か症状のある時は、医師の診察を受ける。
作業主任者の選任
RCFの取り替え、除去作業について、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」修了者から、特定化学物質作業主任者を選任し、以下の業務を履行させる。
-作業方法の決定、作業者の指揮
-保護具の使用状況の監視
尚、主任者の選任は職長またはこれに代わる者とし、交代毎(直毎)に選任する。
また、特定化学物質作業主任者の氏名及びその職務の内容を、作業場の見やすい場所に掲示する必要がある。
呼吸用保護具・保護衣の着用
作業者の呼吸用保護具は、電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)に定める粒子捕集効率が99.97%以上かつ漏れ率が1%以下のものから選定しなければならない。 また、RCF繊維の付着を防止するために、作業衣の他にJIS T 8115「化学防護服」による素材がすべすべした保護衣(例えばタイベック)を使用することが望ましい。
RCFの飛散抑制措置
RCFの取り替え、除去時に作業場や建物外に対するRCFの飛散を抑制するために、可能な限り取り替え、除去箇所の養生を行う。養生資材にはブルーシート等プラスチック製シートがある。
清掃の実施
粉じんの堆積は二次発じんの原因となるので、粉じんが飛散しないような方法で作業後は清掃する。清掃は、混潤な状態で行うことが望ましい。湿潤化できない場合には、真空掃除機(HEPA付真空掃除機が望ましい)を使用して実施すること。
飛散しないように廃材処理(ガラスくず)
RCFの廃材、及び付着物は、作業場内では再飛散を防止するため、ふた付の容器にいれる。廃棄の際には、きっ甲金網などで廃棄用の袋が破れ周辺環境中粉じんが飛散する可能性もあるので、0.15mmの厚みを持ったプラスチック袋に入れて廃棄すること。RCFは一般産業廃棄物の“がれき類”または“ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず”に該当するので、“廃棄物の処理及び清掃に関する法律”に基づき適切な処理を行う。尚、本製品は安定型処分場で処理できる廃棄物である。
その他
- 作業場は関係者以外立入り禁止とする。
- 作業場以外の場所(作業場の同一の棟屋で、あっても、作業場と完全に隔離されている場合は可)に休憩室を設ける。
- 呼吸用保護具の保管については、粉じんが付着しないように清潔に管理する。
- 役所への提出義務はありませんが写真・書類保存などはしておいた方が良いかと思います。